青木雄二漫画短編集 (広済堂文庫―漫画文庫)
私がこの本を見つけたのは駅のキオスクです。ずいぶん前ですが。
あの青木雄二の短編集がこんなところにと思って、即買いしました。
青木さんの初期作品のようで、影響を受けたドストエフスキーの小説を
そのまま換骨奪胎したような作品もあります。だからと言ってつまらないわけではありません。
非常に上手に、現代日本の大阪を舞台に置き換えています。私は大阪人ではありませんが。
そして、人間を温かく見る目、冷徹に見る目、人間の本音をリアルに描く目が同居し、
青木ワールドの萌芽を見るようで、とても興味深く、またストーリーも私には面白いです。
生意気なことを申せば、才能のある人の初期作品には、その後の作品の予兆がすでに
出揃っていることが多いものですが、この作品集もその通りだと思います。
青木さんの人生そのものもドストエフスキー的かな。
私は「ナニワ金融道」のような大長編漫画は苦手なのですが、私と同じような人には
手に取ってもらいたい作品集です。