盗掘でわかった天皇陵古墳の謎
古代天皇陵のほとんどは盗掘被害を受けていると推定される。
そのうち盗掘団が捕縛され、盗掘した際の内部の様子や
盗掘された副葬品などの記録が残っている例がいくつか紹介されている。
平安、鎌倉、江戸、大正と時代背景は様々である。
現状、天皇陵は治定の誤ったもの以外は発掘や調査はほとんど許されず、
そうした盗掘の際の「偶然の記録」に頼って様子を垣間見るしかない。
しかし盗掘団が罪を軽くするために盗掘した場所を偽証したりしていて
どこまで信頼に足る情報なのか疑問が残る。
宝物が持ち去られ、本来祭祀の対象であるはずの遺骨が
粗略に扱われているのは痛ましい限りである。
盗掘を受けたまま荒れ果てた状態になっている玄室の内部を
きちんと整えてこそ本当の意味での祭祀ではないだろうか。
整備と歴史学的な解明のためにも、天皇陵の正式な調査が望まれる。