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素直に楽しめる娯楽映画でしたよ(^.^)
原作は一度も読んだことがないので、変な先入観もない状態で観たのも楽しめた理由になったのでしょうか？ 冒頭の2人が電車に引かれて、ガンツ部屋に転送されるシーンから「これからどう話が進んでいくんだろう」と先が気になって仕方がなくなりました。
日本映画は意味も分からなく中途半端な内容のものが多いと思うんですが、これにはそれがなく、正統派エンターテイメント映画になっていると思います。
独特な世界観も魅力的ですし、次回作(パーフェクトアンサー)が観たくなるような終わり方で最後まで引き込まれました。
原作ファンの方達からは評判があまり良くないようですが、純粋に一本の映画として観ればとても良くできた作品ではないでしょうか。
帰らぬオオワシ―猟師七兵衛の物語 (偕成社文庫 4049)
1975年に出た単行本を1981年に偕成社文庫化したもの。
著者は岩手で小学校教師をつとめながら、県内の動物の調査、古老や猟師への聞き取りを繰り返し、やがて動物文学作家になった人物。
本書は児童書ではあるが、内容の面白さ、重さは大人をも十分に楽しませるもの。
三陸・船越半島に住む猟師の一生を追いつつ、動物の減少と絶滅の問題に迫っている。背景になっているのは、明治20年代〜1970年頃まで。猟師・七兵衛は、その一生で無数のワシやタカを撃ってきた。少年〜青年時代は名人とうたわれ、疑いを抱くこともなく「害鳥」であるワシを殺し続けた。しかし、ワシは急激に数を減らし、また、規制・保護も厳格になっていく。そのなかで七兵衛自身も自分のやってきたことが本当に正しかったのか、反省を促されることになる。
悲哀に満ちたラストには考えさせられる。
銃の発達、狩猟法の変遷、動物のいなくなる過程など、下調べが厳密。動物と日本人の関係を振り返るのに、価値ある一冊だと思う。
聖(セント)マッスル (QJマンガ選書 (03))
エロトピア掲載の「女犯坊（原作滝沢解・1974〜76）」で一躍注目を浴びたふくしま政美。少年マガジン編集部が彼を抜擢し、「聖マッスル（原作宮崎惇・1976〜77）」は大々的にスタートを切りました。原作はあるもののふくしま主導の制作だったようで、思う存分に筆を振るってその才能を爆発させている。特に第三章までのテンションは怖いくらいです。正体不明、記憶を無くした筋骨隆々（なぜか前半は全裸）のヒーロー“聖マッスル”が、流浪の旅の行く先々で、理不尽な圧政等に苦しむ人々に救いの手を差し伸べる。
あの「北斗の拳」に影響を与えたのではと言われており、基本プロット、過剰な肉体美やキャラクター造形、馬との絆、そしてありえないほど巨大な人間など、驚くほど共通する要素が見てとれます。「バキ」シリーズの板垣恵介先生もふくしま先生に影響を受けたと語られたことがあります。こうして見ると、ふくしま劇画の少年バトルマンガへの影響力は小さなものではなさそうです。
極限までエスカレートした筋肉描写、ダイナミックな肉弾バトルなど、ド迫力の表現の数々は他の追随を許しません。絵の力でぐいぐいと読者を魅了していきます。筋肉だけでなく、建築物や砂漠・岩場など荒涼とした風景の絵も素晴らしいです。ストーリー面も子供っぽいものでなく、今の大人が読んでも十分に楽しめます。
第三章「巨人王」に出てくる巨人王は極めて器の大きな人物で、彼と聖マッスルの魂の交わりは見応えあり。おびただしい数の人間の肉体で創られた“人間城”のアイデアや、“死のマラソン”“ぬいぐるみの刑”といった各話の非道な刑罰も秀逸。
作者の意気込みや編集部の期待に反し本作は話題になることはなく、聖マッスルの出自も明かされぬまま打ち切られています。この衝撃作が黙殺されたのは時代が悪かったという事なのでしょうか…
第一章 「人間城」
第二章 「命の水」
第三章 「巨人王」
第四章 「北の魔神」
第五章 「奴隷地獄」
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