コシノ洋装店ものがたり (講談社プラスアルファ文庫)
コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコといえば、今や世界に名を轟かせるファッション・デザイナー三姉妹である。
意識しなくてもたまたま買ったものが彼女たちのブランドだったりする。
この三姉妹の母親の綾子さんがまた、とんでもない女傑なのだった。
その一代記をドラマにしたのが、NHK朝ドラ『カーネーション』である。
これが面白い。
ふだんはあまり関心がないのに、録画して全部見ている。
渡辺あやさんの脚本もいいし、主演の尾野真千子さんはじめ、役者の演技もいい。
あんまり面白いので、どこまで実話なのか、もともとの小篠綾子さんはどんな人なのか、知りたくなった。
で、本を探してみるとたくさんある。
私が知らなかっただけで、その筋では既に有名な人らしく、
2006年に92歳でなくなったが、テレビのインタビューなどにもけっこう出ていたらしい。
私が選んだこの1冊は、総合的に人生を振り返っている本で、
前に書かかれた『やんちゃくれ』を88歳のときに再編集したものだとか。
プロのライターではないから、文章に特別の味わいがあるとかいうわけではないが、
なかなかどうして巧みな表現力で、しっかり自分の考えを伝えられる人である。読みやすい。
しかし何といっても驚くべきは、その内容であろう。
事実は小説より奇なりとはよくいったもので、綾子さんの人生はそのままドラマである。
ここに書いてある内容は、多少の演出は加えられているにしても、ほとんどそのままドラマに使われている。
自分の好きな道をみつけて突進する少女時代、戦中戦後の苦しい時代、恋と子育て。波乱万丈である。
この時代を生き抜いた人生には、人に知られなくてもドラマチックなものが少なくないという気がするが、
その中でもこれだけ力強い生き方はそうあるものではあるまい。
それが娘たちの華やかな活躍のおかげで広く世に知られるようになったのは、我々読者の僥倖でもあろう。
何しろ強烈な個性の軌跡だから、誰もが読んで喜ぶというわけにはいかないかもしれないが、
ひとつの興味深い人生の記録であることは否定しようがない。
何よりも、好きなことをやる、それもとことんやるという徹底ぶり、
常に、前へ、上へ、と向かうエネルギーがすごい。
それは娘たちにも受け継がれていくわけで、その辺を描いた結末部は感動的である。
気持ちよく読み終えることができた。
男たちの大和 / YAMATO [DVD]
戦争映画、しかもヤマトと言うことで注目の高かったこの作品。
「戦争の悲惨さをこの作品を通して・・・」という意見にしようかと思ったのですが、敢えて映画としての出来という視点から辛口のコメントをさせていただきます。
まずは映画としての完成度について。制作費25億円位を投じて作られたらしいのですが、やはり、日本映画レベルの出来でした。例えばラストサムライ。制作ドキュメンタリーなどを観ても分かるとおり、技術的に数段上です。
対してこのYAMATOは映像のカット割り、編集技術や演出のレベルの低さに加えて、役者選びの失敗も目立ちました。
ハリウッド映画では下手な演技をする役者はCGで後から消されてしまします。もしハリウッド映画制作サイドがこの映画を編集したら、ほとんどCGで塗りつぶされてしまうのではないかと思う位演技に違和感がありました。
オープニングの鈴木京香、仲代達也等の演技からして下手な教育番組ドキュメンタリーもののようでしたし、艦長は大物だから渡哲也といった割り当てもいかがなものかと。監督の力量が伺えます。
他の方々が「お涙頂戴映画」といってしまうのも、演技、演出がわざとらしい点に原因があると思います。
実力よりコネや運で監督が出来る日本の映画界を再び見てしまった気がします。
テーマについては良いと思います。戦争では単純に死者数が何千人、何万人と出てくるだけですが、その一人一人にそれぞれ友人がいて家族がいます。その個人個人の生活にスポットを当てているという事では戦争の悲惨さ考えさせる意味で評価出来ます。
監督が優秀であれば秀作になり得ただろうに少し残念です。
Live at the Lighthouse
一言でクール。ここまで熱いライブ版には滅多に会うことはありません。荒い演奏ではありますがロック系、クラブ系、ファンク系ファンの方に是非聞いて頂きたいです。グルーブ感はもちろんの事、会場に漂う雰囲気まで含め最高のアルバムです。
100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))
大人になってから、本屋さんでたまたま出会った本なのですが、立ち読みしながら、泣きました。 今は買って家で読みますが、それでも、泣きます。 ねこは幸せなハズなのに、泣けてしまいます。 少ない言葉で、全てを語ってくれる、数少ない絵本です。
初恋に捧ぐ
この人たちはせつない歌を作りますね。 バラードコレクション、アンタイトルドとはまた違った雰囲気のアルバムです。 様々な曲が収録されていて、結構ポップかな。 特に一曲目の初恋に捧ぐは、デビュー予定曲だったらしいので、ちょっと異色なぐらい明るくてポップですね。 少し初期スピッツのような。 これでデビューしてたらちょっと誤解されそうです。この曲も良いですが、彼らの魅力はもっと違う部分だと思うので。 切なさとかちょっとした虚無感とかそういったものが彼らの魅力だと。
涙の旅路が好きです。
このアルバムもバラードコレクションもそうなんですが、まだ荒削りな部分があります。でもそこが良い。
完成されきっていない感じが。
わかりやすく言えば、サニーデイ・サービスにちょっと似ているかなと思います。